僅か30センチの恋

スズにもう一度気持ちを伝えよう。
そう高まっていた気持ちは
見事になくなっていた。

俺は初めてスズの事よりも
仕事の事で悩んでいた。

家に帰り、部屋に入ると
ジメッとした空気に包まれていた。

夏が始まったとはいえ
梅雨が明けたばかりのこの季節。
いつもその空間は
俺に不快感を感じさせる。

窓を開けベランダに出て
外の空気を一気に吸い込んでみても
やっぱりその空気は
どんよりとしたものだった。

涼美「やっと帰ってきた。」

スズの声が聞こえ真正面を向くと
今日も笑顔のスズがそこにはいた。
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