僅か30センチの恋

30センチの隙間を
乗り越えようと足をかける
スズの腕を掴んだ。

李人「俺、会社辞めようと思う。」

スズには話したくないと思うのに
弱い自分を見せたくないと思うのに
どうしてもスズと一緒にいたくなった。
隣にいて欲しかった。

涼美「どうして?
だって、リトはあの会社に
入るためにいっぱいいっぱい
頑張ったじゃん。」

李人「そうなんだけど...
俺が入社した頃から
ずっと担当してる萱島医院って
小さな診療所があってさ。
正直、支払いも滞ってて...
うちの会社としてはもう1つも
器械を卸せないんだ。
でも、俺はあの病院を無くしたくない。」

涼美「何で?」
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