僅か30センチの恋
李人「萱島医院はその町に1つしかない
診療所でお年寄りから子供まで
沢山の人が訪れる。そこに行く度に思う。
ここがなくなったら町の人達は...って。
俺は医者でもないし医療の事について
勉強してきた人間じゃない。
病院経営の難しさとか細かい事は
分からないけど、単純に
なくなったら困る場所だなって思うんだ。」
スズは俺の目を見ながら
一生懸命に話を聞いてくれる。
李人「うちの会社からしたら
返済の滞る劣等な取引先でも
町の人達からしたら
なくてはならない存在なんだ。
そんな必要とされてる病院を
金が回収できないからって理由で
切り捨てろっていう大企業の
仕組みが俺にはよく分からない。」
いつの間にか俺はその瞳に
吸い込まれるように
思う存分、弱音を吐いていた。