僅か30センチの恋

涼美「辞めてどうするの?
リトが辞めればその病院は救われる?」

李人「多分、俺には何も出来ない。
でも、俺は見たくない。
俺の顔を見る度に真っ先に頭を下げる
萱島さんの姿をもう二度と見たくないんだ。」

涼美「本気でそんな馬鹿な事言ってるの?」

李人「馬鹿な事って何だよ。
俺は真剣に...」

涼美「だって、リトが辞めたら本当に
その人達は困っちゃうよ?
味方が居なくなっちゃうんだよ?
リトは見たくないかもしれない。
頭を下げられるのは辛いかもしれない。
でも、リトがいなくなったら
誰が萱島さんを守ってあげられるの?」

俺はスズの事をやっぱり何も
分かってはいなかった。

社会人になったスズの事を知らなかった。
いつも、ここで話す時は
幼馴染のスズだから。
社会で働くスズの事を分かってなかった。

スズは俺よりも立派な社会人だった。
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