僅か30センチの恋

父「読んでみるかい?」

李人「いいんですか?」

父「ああ。」

おじさんに手渡された手紙を
開くと所狭しと文字が綴られていた。

『拝啓、神原 清人様。

突然の手紙申し訳ない。
昨日も飲みに行ったじゃないかと
清人は思うだろう。
その場で言えれば良かったんだが
何分、口下手な人間故
話せなかった事がある。

先日、李人からスズちゃんと
付き合う事になったと聞かされた。
李人には面と向かって言って
やれなかったが、私もあいつの父親だ。
我が子が、心の底から好きな人と
恋人同士になれた事を嬉しく思う。
何事にも興味を示さなかったあの子が
人生を懸けて好きになった人との
恋を応援せざるを得なかった。
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