僅か30センチの恋
清人があいつの事を許せる日が来たら
どうかあいつに伝えて欲しい。
2人で幸せになりなさいと。
俺は言ってやれないから清人に託す。
どうか、うちの息子を
よろしくお願いします。』
正直、俺と親父は2人だけで
会話などした事がなかった。
仲が良くない訳ではなかったけど
お互いが無関心とでも言うのだろうか。
家にいても空気のような存在で
進路を決める時も会社を決める時も
親父は一切口出ししなかった。
学生時代、お袋にはそれなりに
色んな話はしたけど
親父にそう言った類の話を
した事はなかった。
なのに、親父は...ちゃんと
俺の父親だった。
悲しい事など1つもないのに
俺の目からは涙がこぼれ落ちた。