僅か30センチの恋

こんな、脅しみたいな事を言うなんて
本当に俺はどうかしてる。

だけど、スズにはこのくらい
ハッキリ言わないと伝わらない。
俺の本気が伝わらない。

実際にその覚悟は出来ている。
幼馴染のままでいたい...なんて
俺は正直思った事がない。

心地良かったけど、スズの色んな表情を
間近で見られるのは嬉しかったけど
いつからか、それじゃ満足出来なくなった。

いつだって俺はスズの彼氏になりたかった。
でも、言えなかったのは
スズが俺と幼馴染でいる事を
望んでいたからだ。

スズの願いは1つでも多く叶えてあげたい。

そんな矛盾と葛藤しながら
今までスズとの距離を保ってきた。
30センチの隙間の様に
俺はそれ以上踏み込まなかった。
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