僅か30センチの恋

俺はただ聖夜にスズの気を引く
方法を聞きに来ただけなのに
何で、今、見知らぬ女の人と
挨拶し合っているのだろう。

それに、さっきから前に座る
三谷さんの視線が痛い。

全てを知っているはずなのに
何で聖夜はここに三谷さんを
呼んだんだろう。

三谷「何も気まずい事はないわよ。」

李人「え?」

三谷「私は聖夜の彼女だから。
今更、手に入らない木山くんを
追いかけようだなんて
思ってないから安心して。」

頼んでいた俺のビールが届くと
三谷さんはグラスを突き出した。

三谷「とりあえず乾杯しましょう。」

聖夜「そうだな。
はい、今日も1日お疲れさん!乾杯!」

グラスとグラスが合わさる音が響き
皆が一斉にそれを口にする。
見慣れた光景でさえも
今は少しだけ息苦しい。
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