僅か30センチの恋

三谷「私は、木山くんに振られて
しかも、初めての失恋だったから
気持ちの立て直し方が分からなかった。
ああ、ここが地獄かって思った。
そんな時、聖夜がしつこいくらいに
声をかけてくれたの。底辺にいる私に
向かって上の方からずっとずっと
話しかけてくれたの。1度振ったのに。
ハッキリキッパリ断ったのに
めげずに何度も私の名前を呼んでくれた。
そこから見上げた景色は
驚くほどに素敵だった。
あそこが天国だ!って思えたんだ。」

彼女の横顔を見つめる聖夜の
目には涙が溜まっていた。

愛おしい。
今、聖夜がそう思っている事が
その表情から見て取れる。

三谷「傷付くって...大切な人との間にしか
起こり得ない事なんだよ。
どんな形でも木山くんの好きな人が
傷付くのならそれって少しは
可能性があるって事なんじゃない?
傷付けて終わらせてしまったら
裏切り者になる。でも、すぐに
誤解を解けばより一層感じられると思う。
私、この人の事が大切なんだって。」
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