アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「あぁ、そう。
でも私には関係ないでしょう?
左大臣さまの宴はもうすぐなんだもの、今は踊りの練習をしなくちゃ」
「ですが姫さま、お客さまに琴を聞かせてあげるようにとのことです。
それに、万が一のこともありますし、そのお姿を見られては……」
女房が言い淀む。
朱鳥の服装は、小袖に袖を通しただけという簡単な出で立ちだ。
踊りやすいようにという理由はあるがそんな言い訳は通らないだろう。
貴族の姫にあるまじきこの格好を人に見られては、朱鳥だけの問題ではなく藤原家としても恥になる。
女房の微妙な表情を感じ取ったのか、朱鳥は首を傾げてシュンと俯いた。
「そうね。すぐに着替えるわ」
朱鳥は深いため息をつく。
藤原家で朱鳥が舞を披露することは、母は大反対なのだ。
――仕方がない。練習の続きはお客様が帰ってからすればいい。
ここは平安の都。
そこに住む貴族の姫らしく、母の言うとおり着替えて琴を奏でようと、
朱鳥は立ち上がった。
でも私には関係ないでしょう?
左大臣さまの宴はもうすぐなんだもの、今は踊りの練習をしなくちゃ」
「ですが姫さま、お客さまに琴を聞かせてあげるようにとのことです。
それに、万が一のこともありますし、そのお姿を見られては……」
女房が言い淀む。
朱鳥の服装は、小袖に袖を通しただけという簡単な出で立ちだ。
踊りやすいようにという理由はあるがそんな言い訳は通らないだろう。
貴族の姫にあるまじきこの格好を人に見られては、朱鳥だけの問題ではなく藤原家としても恥になる。
女房の微妙な表情を感じ取ったのか、朱鳥は首を傾げてシュンと俯いた。
「そうね。すぐに着替えるわ」
朱鳥は深いため息をつく。
藤原家で朱鳥が舞を披露することは、母は大反対なのだ。
――仕方がない。練習の続きはお客様が帰ってからすればいい。
ここは平安の都。
そこに住む貴族の姫らしく、母の言うとおり着替えて琴を奏でようと、
朱鳥は立ち上がった。