アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「いいですね、今日のお客さまは槙大納言さまです。
幸いなことにあの方にはまだ正室がいらっしゃいません。
ここは是非、美しい琴の音を聞いて頂いて、よろしいですか?姫」
「嫌でございます! 大納言さまは、もうお爺さんではないですか」
「仕方ないでしょう。あなたが選り好みをしているばっかりに、年ばかりとってしまって年頃のお相手はみな北の方がいらっしゃるのだから」
「だから、私は舞師になってひとりで生きていきます!
大納言さまなんて絶対に嫌ですからね! 失礼いたします!」
ムッとして立ち上がった朱鳥は、袖を翻して背を向けると御簾に手を掛け、するっと廂(ひさし)に出た。
「姫! 待ちなさい!
扇はどうしたの。扇を持ちなさい!」
北の方には、立ち上がる体力がない。
脇息を抱えるようにして体を支えた北の方は、また深々とため息をついた。
幸いなことにあの方にはまだ正室がいらっしゃいません。
ここは是非、美しい琴の音を聞いて頂いて、よろしいですか?姫」
「嫌でございます! 大納言さまは、もうお爺さんではないですか」
「仕方ないでしょう。あなたが選り好みをしているばっかりに、年ばかりとってしまって年頃のお相手はみな北の方がいらっしゃるのだから」
「だから、私は舞師になってひとりで生きていきます!
大納言さまなんて絶対に嫌ですからね! 失礼いたします!」
ムッとして立ち上がった朱鳥は、袖を翻して背を向けると御簾に手を掛け、するっと廂(ひさし)に出た。
「姫! 待ちなさい!
扇はどうしたの。扇を持ちなさい!」
北の方には、立ち上がる体力がない。
脇息を抱えるようにして体を支えた北の方は、また深々とため息をついた。