アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「お疲れさまでした。お荷物はこちらに置いておきます」

――荷物? そんなものあったか?

濡れた髪を拭きながら、アラキを振り返って思い出した。

飛香が魅入っていたキラキラの靴は、あの時こっそり注文をしてクロークに回してもらっていた。オークションで買ったものと一緒に、車に積んでもらったまま忘れていた飛香へのプレゼント。

「ああ、サンキュー」

「洸さま、お見合いの話ですが、次の土曜はいかがでしょう」

「え?土曜? 随分手際がいいな」

「形式ばったお見合いではなく、とりあえず気軽にお二人だけで会ってみるという事にされてはいかがかと」

「ああ―、うん。そうだね」

「では、よろしいですね?」

「いいよ、すすめて」

アラキはそれだけ言うと部屋を出て行った。
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