アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
コンコンと軽くノックをして「飛香、ちょっといい?」と声をかけてドアを開けると、部屋の中には音楽が響いている。

テレビ画面の中で、今人気の歌手がゆったりとした切ない歌を歌い、ダンサーが踊っているのが見える。

そして飛香を見た洸は、仰天して目を見開いた。

飛香は口ずさみながら踊っている。

今日壺装束の彼女が被っていた垂れ布のように、薄いシルクのガウンをひらめかせて。

――下着も身につけずに……。

咄嗟に扉を引いた洸は、慎重に、音を立てないように扉を閉じた。
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