アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「その、女性の方は大丈夫なのですか? 万が一……」
本当の見合いではないとわかっていても、希望をもってしまうということもあるだろう。なにしろ相手は西園寺洸なのだ。

「ええ、大丈夫です。何しろ彼女が好きなのは、男ではなく女性ですから」

鈴木は声を失ったように唸る。

「――さすがです」

思わず出た言葉に、アラキが楽しそうに破顔した。

「今頃どうしているでしょうね、ふたりは」


洸が邸に帰ったのは、午後四時だった。

「おかえりなさいませ」
「ただいま」

出迎えたアラキは、そのまま洸の部屋まで付いていく。

何しろ今回のことは夫人はもちろん、サワも含めてアラキと洸以外誰も知らない。洸の部屋以外では話は出来なかった。

「どうでした?」

「うん」
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