アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「続けてお会いしてみますか?」

「――そうだね。夕食でも一緒に」

「わかりました」

余計なことは、アラキは聞かない。
それだけ言うと、洸の部屋を出た。

洸が帰ってくる前に、綾乃から電話をもらっている。
『気づかれなかったと思います。洸さんはずっと紳士でしたよ。好意は感じましたが、残念ながら、それ以上の気持ちを引き出すことができたとは思えません』


アラキが部屋を出ると、洸はそのままバスルームに向かいシャワー浴びて、身を投げ出すようにソファーに沈み込んだ。

多分、自分が思い描いた妻となるべく女性は、綾乃のような女性なのだろう。

頭のいい女性だった。会話はウェットに富み品もよく美人で、一緒にいて疲れない優しさをもっている女性だと思った。

――断る理由がない。

一緒にいてもつまらない、ということ以外には……。
< 198 / 330 >

この作品をシェア

pagetop