アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「またお琴弾かせてもらっちゃいました。お邸だととても音の響きがよくて、弾いていて気持ちがいいです。私の家とは大違い」

「これからこっちにいるの? 那須じゃなくて?」

「はい。多分」

「ふーん」


何かが心の中でムクムクと鎌首をもたげた。


「だったら、ずっとここにいたらいいのに」


「え?」


「たとえば、僕のお嫁さんになるっていうのはどう?」


一瞬間をおいてアハハと飛香が笑う。

「洸さんたら、またそんな冗談言って。
それに私を迎えに来てくれる貴公子は、五歳上までと決まっているんです。残念!」


――へ?

ザンネン? 今、『残念』って言ったのか?
< 200 / 330 >

この作品をシェア

pagetop