アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
その後、洸の体調は不安を残すことなく無事に回復した。
鈴木は注意深く洸の様子を伺っていたが、彼は精力的に仕事をこなし食欲も問題ないようにみえる。
今日も、打ち合わせを兼ねての昼食だったが箸は進んでいるようだった。

だが、やはりどこかおかしい。

なんとなくだが、日を追うごとに寡黙になっていくように感じるのだ。
鈴木は少し心配になってきた。

「大丈夫ですか? 無理はなさらないでください」

「ん? 全然無理はしてないよ」

「ならいいのですが……」

健康に問題がないとすれば、精神的なものだろうかと鈴木は内心首を傾げた。

普段から基本的には陽気で泰然自若としている彼だ。
仕事でどんなに追い詰められても、動揺をみせることはないし、ちょっとやそっとで気に病むようなことはないはずなのだ。

――何かあったのだろうか。

今も窓辺に立ち外を見下ろしているが、その背中に力はない。
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