アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
心配になり、書類を持つ手をテーブルの上に置いたその時、電話が鳴った。
受付からである。

「はい西園寺常務室です」

『藤原碧斗さまから西園寺常務にお電話です。お忙しいようなら回さなくていいとのことですが』

「わかりました。こちらで対応します」
鈴木は一旦電話を保留にした。

「碧斗から電話のようです。とりあえず私がでますか?」

「いやいいよ、僕が出る」

碧斗からの電話は、すぐ近くにいるのだが時間があるなら寄ってもいいか、ということだった。
『忙しいだろうけど、万が一にも空いていればと思ってね』

作らなければならない書類やらがあるが、それは今日中に終わらせればいい仕事だ。
今、三十分や一時間の時間を使ったところで何の問題もない。

「大丈夫。上がって珈琲でも飲んでいって」
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