アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「家元になることになった」

「親父さん、まだ具合悪いの?」

「今はなんともないが、しばらく無理はしないほうがいいと医者に言われている。気持ち的には至って元気なんだけどね」

「家元となると忙しくなりますね」

「仕方ない」

「飛香は元気?」

「あぁ、そう飛香のことでちょっと相談があって寄ったんだ」

「なに? どうかしたの?」

「それが、どこかで働きたいといいだして」

「へぇ」

「両親と那須に行く予定でいたんだが、別荘から通えるとなると仕事を見つけるのは難しい。
両親とも話し合ったんだ。病気のことはあるが、少しずつ社会に出ることも大切だろうということになってね」

「まぁ、そうだろうな」
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