アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
ふいに朱鳥が首を傾げて、兄をじっと見た。
「兄君、“お籠り”でまた少しお痩せになりました?」
時折蒼絃は部屋に籠もる時がある。
声をかけることも誰ひとり入ることも許されないので、蒼絃がそこで何をしているのかはわからないが、両手の指を数えきるほど何日も部屋を出てこないこともあった。
不安になった朱鳥が、部屋の外で寝起きをして待つこともある。
でも、そんな心配をよそに、兄はある日突然飄々として部屋から出てくる。
それを朱鳥は“お籠り”と呼んでいるが、今日も蒼絃は十日ぶりに部屋から出てきたところだった。
「痩せた? そうかな」
「ええ、お痩せになりましたよ? でもお顔の色はよいので、大丈夫ですね」
この不思議な兄は、生ということにまるで無頓着にみえる。
兄の蒼絃が朱鳥を心配するように、妹の朱鳥も兄が心配でならなかった。
「兄君、“お籠り”でまた少しお痩せになりました?」
時折蒼絃は部屋に籠もる時がある。
声をかけることも誰ひとり入ることも許されないので、蒼絃がそこで何をしているのかはわからないが、両手の指を数えきるほど何日も部屋を出てこないこともあった。
不安になった朱鳥が、部屋の外で寝起きをして待つこともある。
でも、そんな心配をよそに、兄はある日突然飄々として部屋から出てくる。
それを朱鳥は“お籠り”と呼んでいるが、今日も蒼絃は十日ぶりに部屋から出てきたところだった。
「痩せた? そうかな」
「ええ、お痩せになりましたよ? でもお顔の色はよいので、大丈夫ですね」
この不思議な兄は、生ということにまるで無頓着にみえる。
兄の蒼絃が朱鳥を心配するように、妹の朱鳥も兄が心配でならなかった。