アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「うちなら安心だ」と満足そうな笑みを浮かべ、洸は自分の部屋に行く。

「鈴木さんもどうぞ、いつものゲストルームに」

「すみません」

いくつかあるゲストルームのうち、鈴木がここに泊まるときはいつも同じ部屋だった。
いっときは、ここに住んだらいいのにと洸に詰め寄られたほどなので、鈴木専用の着替えは常備してある。

アラキとふたりになった隙に、すかさず鈴木は聞いた。

「彼は飛香さんを好きなんですか? あきらかに様子が変なんですが」

「ええ、確かに変ですね」と、アラキは、クツクツと楽しそうに笑う。

「この家から飛香さんがいなくなってからというもの、生ける屍のようでしたから」
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