アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「それで? 舞は決まったのかい?」
「え? あ、はい!」
笛を吹くから見せてご覧と言って、蒼絃は衣から人の形をした紙を取り出した。
蒼絃が息を吹きかけると、人形はくるくると回りながら小さな舞姫になる。
蒼絃が横笛を吹き始めると朱鳥も舞い始め、その周りを式神たちも笑いながら舞いはじめた。
時折キラキラと鱗粉が輝いて、それはまるで天女の舞だ。
踊りながら朱鳥は思った。
――姫なんてつまらない……。
ここ平安の都で姫と生まれたからには、寝殿の奥深く隠れるようにひっそりと息をして、殿方に愛されることを願うしかない。
つまらないとか面白くないとか、そう思っても、貴族の姫には他に生きていく術がないのだから仕方がないことだとわかっている。
――ただ、もし。
それでももし、迎えに来てくれる人があの方ならと、
朱鳥にも思う人がいないわけではなかった。
脳裏に浮かんだのは、想い出に眠る美しい公達。
――あの荘園の君は、今どうしているのだろう。
「え? あ、はい!」
笛を吹くから見せてご覧と言って、蒼絃は衣から人の形をした紙を取り出した。
蒼絃が息を吹きかけると、人形はくるくると回りながら小さな舞姫になる。
蒼絃が横笛を吹き始めると朱鳥も舞い始め、その周りを式神たちも笑いながら舞いはじめた。
時折キラキラと鱗粉が輝いて、それはまるで天女の舞だ。
踊りながら朱鳥は思った。
――姫なんてつまらない……。
ここ平安の都で姫と生まれたからには、寝殿の奥深く隠れるようにひっそりと息をして、殿方に愛されることを願うしかない。
つまらないとか面白くないとか、そう思っても、貴族の姫には他に生きていく術がないのだから仕方がないことだとわかっている。
――ただ、もし。
それでももし、迎えに来てくれる人があの方ならと、
朱鳥にも思う人がいないわけではなかった。
脳裏に浮かんだのは、想い出に眠る美しい公達。
――あの荘園の君は、今どうしているのだろう。