アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
部屋に入ると、テーブルの上にメモがあった。

『お仕事、お疲れさまでした。 飛香』

最近はあまり見かけない縦書きの文字。
シンプル過ぎるところまで飛香らしいと思いながら、そのまま一度ソファーに腰を下ろして読んだ。

――飛香。

メモをテーブルに戻し、額に手をあてる。

可愛らしいメイド服が呆れるくらい似合っていた飛香。満面の笑みで出迎えてくれた彼女を抱き上げて、そのまま寝室まで連れていきたかった。

その衝動を自分でもよく堪えたと思う。

深い溜め息が溢れる。
――こんな時、人はどうやって気持ちを静めるのだろう。

集中して仕事に向かっている時はまだいい。
問題は、こうして一人になった時だ。
冗談みたいに襲ってくる寂しさと、孤独。ふいに、いるはずのない飛香を探してしまいそうになる。

今だって、もしかしたら『住み込みになってもいいですか?』なんて言いながらひょっこり顔を出すんじゃないかと、期待している自分がどこかにいるのだ。
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