アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
タイミング良くコンコンと扉が叩かれ、ハッとして顔を上げた。
「失礼します」と顔を出したのは、飛香のはずはなくアラキだ。
「飛香さんの電話番号です。SMSなら何時でも、頼みたいことがあれば何なりとおっしゃってくださいとのことでした」
受け取ったメモを見て、今更のように気づいた。自分は彼女の電話番号さえ知らずにいたのかと。
手を伸ばせばすぐそこにいるような気がしていたのに、実は遠い存在のようにも思えてくる。
「飛香さんに、お見合いの話をされたのですね」
「え?」
「『洸さんはお見合いするんですよね?』と、聞かれました」
「それで?」
「具体的な話はないと言っておきました。お見合いをした話していないのですよね?」
「話してないよ」
「そうですか。飛香さんは、若がそういう結婚をするものだと思っているようでした」
「どういうこと?」
首をかしげたアラキは、「『洸さんの結婚相手は、皇族の姫さまとか大企業のお嬢さまとか、そういう方とじゃないといけないです』って真剣な顔で言っていましたから」
途中、飛香の口真似をしてみせた。
「何それ」
「さぁ」
アラキは肩をすくめて「お食事は一時間後くらいでよろしいですか?」と確認し部屋を出て行った。
「失礼します」と顔を出したのは、飛香のはずはなくアラキだ。
「飛香さんの電話番号です。SMSなら何時でも、頼みたいことがあれば何なりとおっしゃってくださいとのことでした」
受け取ったメモを見て、今更のように気づいた。自分は彼女の電話番号さえ知らずにいたのかと。
手を伸ばせばすぐそこにいるような気がしていたのに、実は遠い存在のようにも思えてくる。
「飛香さんに、お見合いの話をされたのですね」
「え?」
「『洸さんはお見合いするんですよね?』と、聞かれました」
「それで?」
「具体的な話はないと言っておきました。お見合いをした話していないのですよね?」
「話してないよ」
「そうですか。飛香さんは、若がそういう結婚をするものだと思っているようでした」
「どういうこと?」
首をかしげたアラキは、「『洸さんの結婚相手は、皇族の姫さまとか大企業のお嬢さまとか、そういう方とじゃないといけないです』って真剣な顔で言っていましたから」
途中、飛香の口真似をしてみせた。
「何それ」
「さぁ」
アラキは肩をすくめて「お食事は一時間後くらいでよろしいですか?」と確認し部屋を出て行った。