アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
『碧斗の手伝いとかあるんじゃなかったの?』

『お兄さまは家元になる準備が忙しいし、秘書さんがついていますから』

『そっか、それならいっそ住み込みでここにおいでよ』

『それじゃあ、お兄さまが可哀想です。今は私が家事を引き受けているんですもの』

――妹をなんだと思っているんだあいつは。
考えているうちにムクムクと怒りが湧き上がってきた。
家元らしくメイドのひとりも雇ったらどうだ!
そう言ってやりたいところだが、飛香の手前そういう訳にもいかない。

目を閉じて腕を組み、組んだ足をゆらゆらさせていた洸は、突然閃いたようにスマートホンを手に取った。

ルルルと呼び出し音の後に『はい』と出た声の主は親友のひとり氷室仁。

「仁、仕事の話なんだけど、仁のところに英語しか話せないメイドとかいたよね?」

『あぁ、いるよ』
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