アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「隠す必要はありませんよ。彼はその事実を知ったからと言って、動揺するような人ではありません」

「でも、洸さんはその、なんていうか、現実的な考えの人ですから……」

口ごもる飛香を優しく見つめ、アラキはフッと薄い笑みを口元に浮かべた。
「だから、飛香さんの話なんて信じるわけがないと?」

飛香は伏し目がちに頷く。
「仮に信じてくれたとしても、無理ですから……私なんて」

それから先は、どう答えていいのかわからなかった。
自信がない。
西園寺家の御曹司と結婚するということがどういうことなのか、その先どんな試練が待ち受けているのか、飛香には想像もできなかった。

想像できなければ立ち向かう覚悟もできない。
あまりにも途方もない話なのである。
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