アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「飛香さんから見ると、彼はどんな人に見えますか?」

アラキにそう聞かれた飛香は、キュッと唇を噛んで天井を見上げた。
多くを知っているわけじゃない。
会社でどんな風に仕事をしているかも知らないし、どんな風に成長したのかもわからない。

自分が知っているのは、西園寺家にいる時の今の彼だけだ。

「そうだすね……。洸さんは、太陽のような人だと思います。洸さんがいるだけで、そこは明るく照らされる。そんな人」

「いいところだけしか見えないですか?」

「え? でも洸さんの悪いところなんてどこにもないですよね? ないのが悪いところなのかもしれませんけど」

アラキはフッと微笑んだ。
「これから私の秘密と彼の子供の頃の話をします。私と西園寺家の方達だけが知る秘密ですので、どうぞご内分に」

――秘密?

いきなりそう聞かされた飛香は、緊張して両手を握りしめた。
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