アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「警備員はどうしたんですか?」
堪らず飛香が口を挟んだ。

「犯人は現地の警備員の責任者だったんですよ。その日の警備員は全員その男が手配した偽者だったんです」

「なんてこと。それじゃ何も信じられない」
それについてアラキは頷くことで答えた。

「どうやって逃げたんですか?」

「実は私は両親の仇を討って人生を終えようと思っていたのです。ですからいつでもそれが実行できるように様々な凶器を隠し持っておりましてね。
そこでまぁちょっと逮捕されても当然なくらいのことをしたのですが、それがまぁ私の秘密です。
で、彼には配達用の野菜の中に隠れてもらいました。別の配達先に西園寺家と交流のある日本人のファミリーがいましたので、野菜と一緒に彼を届けて一件落着です。
それをきっかけに私は西園寺家に拾ってもらいましてね。来日して大学にも通わせて頂き、こうして執事なんぞをしているわけです」
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