アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
洸の部屋に向かいながら飛香は思った。
――自分の気持ちはわかっている。
メイド服を着た初日。お昼に帰って来た彼を見た瞬間、喉の奥が苦しくなるほどうれしさが込み上げた。
会う機会がないからという理由で西園寺家に来たというのは、自分についた嘘。
ほんの少しの可能性でも、会えるかもしれないからここに来た。仮に会えなくても、洸がいる家でその温もりを感じることができるなら、それでもよかったのだ。
初恋の荘園の君を思い続けたあの頃とは違う。想い出の中だけじゃない。
――今、この瞬間の彼のことが好き。
だけど、この気持ちのまま洸さんの胸に飛び込むことはできない。彼は私の秘密をまだ知らないし、平安の都に帰るかどうかまだわからないのだから。
どうしたらいいのかわからないという自分の気持ちを重く受け止めながら、トボトボと洸の部屋に戻る。
「失礼します」
カチャっと扉を閉じると、「じゃあ早速説明しよう」と新聞をテーブルに置いて洸が立ち上がった。
「はい。お願いします」
あんなことを言われた後だ。突然その続きが始まらないとも限らない。そんなことを思い変に身構えていた飛香の気持ちは肩透かしに終わった。
ひと通り説明すると「じゃ、よろしく。ちょっと出かけてくるね」そう言って洸は上着を片手に部屋を出た。
「はい。いってらっしゃいませ」
――自分の気持ちはわかっている。
メイド服を着た初日。お昼に帰って来た彼を見た瞬間、喉の奥が苦しくなるほどうれしさが込み上げた。
会う機会がないからという理由で西園寺家に来たというのは、自分についた嘘。
ほんの少しの可能性でも、会えるかもしれないからここに来た。仮に会えなくても、洸がいる家でその温もりを感じることができるなら、それでもよかったのだ。
初恋の荘園の君を思い続けたあの頃とは違う。想い出の中だけじゃない。
――今、この瞬間の彼のことが好き。
だけど、この気持ちのまま洸さんの胸に飛び込むことはできない。彼は私の秘密をまだ知らないし、平安の都に帰るかどうかまだわからないのだから。
どうしたらいいのかわからないという自分の気持ちを重く受け止めながら、トボトボと洸の部屋に戻る。
「失礼します」
カチャっと扉を閉じると、「じゃあ早速説明しよう」と新聞をテーブルに置いて洸が立ち上がった。
「はい。お願いします」
あんなことを言われた後だ。突然その続きが始まらないとも限らない。そんなことを思い変に身構えていた飛香の気持ちは肩透かしに終わった。
ひと通り説明すると「じゃ、よろしく。ちょっと出かけてくるね」そう言って洸は上着を片手に部屋を出た。
「はい。いってらっしゃいませ」