アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
障子を開けるとその部屋は、夏であることを忘れさせるほど肌が冷やりした。床の間にあるその鏡の前に座ると、碧斗は被せ布を取る。
木製の台の上に乗ったそれはちょうど顔の大きさほどの丸い鏡である。
「宇宙のリズムに合わせてこの鏡に力を集中させるのだよ」
そう言って振り向いた碧斗の瞳は微かに金色を帯びて見えた。
「いつでも行き来できるわけではないということか」
「そうだ」
ふいに碧斗は左手の手のひらを鏡に向けて瞼を閉じた。
すると、鏡が微かに光を帯びてきて映像を映し始める。
長い長い黒髪の女性の後ろ姿だ。
平安時代の姫なのだろう。薄紫の着物が美しい。
女性が振り返る。
飛香かと思ったが微笑んだ女性は飛香ではなく、洸がよく知る女性に似ていた。
女性の瞳が徐々に大きく映し出され、瞳の中に映る人物が形となって現れてくる。
――ん?
髪型など些細な違いはあるが、それは紛れもなく洸だった。
「彼女はお前の妻だ」
「――え?」
木製の台の上に乗ったそれはちょうど顔の大きさほどの丸い鏡である。
「宇宙のリズムに合わせてこの鏡に力を集中させるのだよ」
そう言って振り向いた碧斗の瞳は微かに金色を帯びて見えた。
「いつでも行き来できるわけではないということか」
「そうだ」
ふいに碧斗は左手の手のひらを鏡に向けて瞼を閉じた。
すると、鏡が微かに光を帯びてきて映像を映し始める。
長い長い黒髪の女性の後ろ姿だ。
平安時代の姫なのだろう。薄紫の着物が美しい。
女性が振り返る。
飛香かと思ったが微笑んだ女性は飛香ではなく、洸がよく知る女性に似ていた。
女性の瞳が徐々に大きく映し出され、瞳の中に映る人物が形となって現れてくる。
――ん?
髪型など些細な違いはあるが、それは紛れもなく洸だった。
「彼女はお前の妻だ」
「――え?」