アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
校舎から少し離れていたそこは人影も少なく静かな場所で、彼女はまるでそこしか居場所がないかのように、息をひそめ存在感を消し小さな影を作る。精神的に不安定な母親のことで悩み疲れ、人生に絶望していた蘭々。
その美貌ゆえ、金のあるろくでなしの男子学生から目をつけられたことが、手を差し伸べるきっかけだったかもしれない。いつしか一緒にいることが自然なほど、親しくなっていた。
それでも相変わらず彼女はひとりでいることが多かった。
孤高の女王と言われていたのはそのためだ。
蘭々と洸が噂になったことは一度や二度じゃない。週刊誌のゴシップ記事に婚約間近と書かれたこともある。
『いいのよ気にしないで。この前は仁と噂になったわ。笑っちゃうわよね、ふふ』
ふたりで笑い飛ばしていたが。
――蘭々の中の女性の部分。
それを意識したことはあっただろうか。
その美貌ゆえ、金のあるろくでなしの男子学生から目をつけられたことが、手を差し伸べるきっかけだったかもしれない。いつしか一緒にいることが自然なほど、親しくなっていた。
それでも相変わらず彼女はひとりでいることが多かった。
孤高の女王と言われていたのはそのためだ。
蘭々と洸が噂になったことは一度や二度じゃない。週刊誌のゴシップ記事に婚約間近と書かれたこともある。
『いいのよ気にしないで。この前は仁と噂になったわ。笑っちゃうわよね、ふふ』
ふたりで笑い飛ばしていたが。
――蘭々の中の女性の部分。
それを意識したことはあっただろうか。