アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
鈴木が部屋を出て行ってひとりになった洸は、窓際から離れて自分の席に戻り腰を下ろした。
なんとなく気持ちが晴れない。
こんな時は……と考えて、思い立ったように電話を取った。
相手は親友の氷室仁。無二の親友だ。
ほんの数回の呼び出し音のあと、仁はすぐ電話に出た。
『はーい』
「仁、忙しい? 飲みに行こうよ」
『いいね。今晩なら空いてるぞ』
氷室仁と西園寺洸は、ふたりがまだ青扇の幼稚舎に通うころからの幼馴染である。途中ふたりのどちらかが両親の都合で海外に行くなどした時期を除けば、いつも一緒にいた。
親友は他にもいるが、その中でも最も長い時間を共に過ごした気の置けない間柄である。
仕事帰りに待ち合わせのバーに行くと、開口一番ニヤリと口元を歪めた仁が言った。
「どうした? 結婚でも決まったか?」
「いきなりだね」
「平日の夜に誘うなんて何かあったと思うだろ、しかも最近やたらと碧斗の妹に執着しているようだしな」
洸はフンと鼻を鳴らす。西園寺家の警備員はみな氷室家の経営する警備会社から来ている。
「うちの警備員は口が軽いのか」
それには答えず、仁は肩をすくめた。
なんとなく気持ちが晴れない。
こんな時は……と考えて、思い立ったように電話を取った。
相手は親友の氷室仁。無二の親友だ。
ほんの数回の呼び出し音のあと、仁はすぐ電話に出た。
『はーい』
「仁、忙しい? 飲みに行こうよ」
『いいね。今晩なら空いてるぞ』
氷室仁と西園寺洸は、ふたりがまだ青扇の幼稚舎に通うころからの幼馴染である。途中ふたりのどちらかが両親の都合で海外に行くなどした時期を除けば、いつも一緒にいた。
親友は他にもいるが、その中でも最も長い時間を共に過ごした気の置けない間柄である。
仕事帰りに待ち合わせのバーに行くと、開口一番ニヤリと口元を歪めた仁が言った。
「どうした? 結婚でも決まったか?」
「いきなりだね」
「平日の夜に誘うなんて何かあったと思うだろ、しかも最近やたらと碧斗の妹に執着しているようだしな」
洸はフンと鼻を鳴らす。西園寺家の警備員はみな氷室家の経営する警備会社から来ている。
「うちの警備員は口が軽いのか」
それには答えず、仁は肩をすくめた。