アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「それから私はずっとその姫を探していた。
すぐに見つかると思っていた。
そこは朝廷の土地で貴族の荘園ではなかったからね。
でも結局見つからなかった」
「そうでしたか」
――え?
そういえば、家の者が迎えに来たあの時『こんな遠くまで』と驚かれたことを思い出した。
荘園からは随分離れていると、両親にとても叱られたことを。
――あれは、うちの荘園ではなかった?
「結局、あの姫のことはあきらめ、ここ左大臣家の姫を迎えることになったが、それはそれで良かったのかもしれないと思っている。
あの野の花のような純真な姫を、醜い権力闘争に巻き込んでは可哀そうだ」
呆然とするうち、声は聞こえなくなっていた。
『可哀そうだ……』
混乱の中その声だけが、いつまでも朱鳥の頭の中をぐるぐると渦を巻く。
そして、絶望させた。
すぐに見つかると思っていた。
そこは朝廷の土地で貴族の荘園ではなかったからね。
でも結局見つからなかった」
「そうでしたか」
――え?
そういえば、家の者が迎えに来たあの時『こんな遠くまで』と驚かれたことを思い出した。
荘園からは随分離れていると、両親にとても叱られたことを。
――あれは、うちの荘園ではなかった?
「結局、あの姫のことはあきらめ、ここ左大臣家の姫を迎えることになったが、それはそれで良かったのかもしれないと思っている。
あの野の花のような純真な姫を、醜い権力闘争に巻き込んでは可哀そうだ」
呆然とするうち、声は聞こえなくなっていた。
『可哀そうだ……』
混乱の中その声だけが、いつまでも朱鳥の頭の中をぐるぐると渦を巻く。
そして、絶望させた。