アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
蒼絃は知っていたのだ。
何もかも。
知った上で、ことを進めないように朱鳥を隠していた。
「涙と一緒に想い出は流してしまうといい」
――それでも。
それでも私は荘園の君と一緒にいたいです、兄君。
ずっとずっと、好きだったんですもの。
待っていたんだもの。
たとえ、北の方になれなくても、時々しか会えなくても、それでも荘園の君と一緒に生きていけるなら。それだけで幸せなのに。
――どうして駄目なのですか?
その想いが涙になって瞼から溢れ落ちる。
朱鳥の心の叫びは、
蒼絃が奏でる笛の音に乗り、静かに響いてゆく。
牛を引く下人も、道行く人々も、その切なく響く音に心を取られ牛車を振り返る。
ある者は足を止め、ある者は涙を流す。
笛の音は朱鳥の悲しみとともに、霧となって空へと流れていった。
何もかも。
知った上で、ことを進めないように朱鳥を隠していた。
「涙と一緒に想い出は流してしまうといい」
――それでも。
それでも私は荘園の君と一緒にいたいです、兄君。
ずっとずっと、好きだったんですもの。
待っていたんだもの。
たとえ、北の方になれなくても、時々しか会えなくても、それでも荘園の君と一緒に生きていけるなら。それだけで幸せなのに。
――どうして駄目なのですか?
その想いが涙になって瞼から溢れ落ちる。
朱鳥の心の叫びは、
蒼絃が奏でる笛の音に乗り、静かに響いてゆく。
牛を引く下人も、道行く人々も、その切なく響く音に心を取られ牛車を振り返る。
ある者は足を止め、ある者は涙を流す。
笛の音は朱鳥の悲しみとともに、霧となって空へと流れていった。