アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「当たり。あいつは平安時代にやけに詳しいからな、色々教えてもらってるんだ」

「やはりそうですか、よく似ていましたから。藤原家の先祖は陰陽師だと聞いたことがあります」

「ああ、そうらしい。いかにもだよな」

現在の藤原家は華道のお家元である。

若き次期家元は、女性誌に取り上げられるなど芸能人に負けない人気があった。

どこか謎めいた雰囲気が漂う美男子。実際に紫の単に白い狩衣を着ようものなら、さそがし似合うだろう。

その次期家元藤原碧斗は、西園寺洸、鈴木翼、青扇学園に通った。学年でいえば洸のひとつ下、鈴木の2つ下が藤原である。

源は青扇学園出身ではないが、遊び仲間だった氷室仁を通じて彼らと知り合った。表裏のない気さくな人柄のせいか彼らとは気が合い、社会人になってもそのまま長い付き合いになる。

今、西園寺洸と鈴木は遊びで源を訪れているわけではなく、仕事で来ていた。
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