アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
――失礼な女だと思ったことだろう。
今更ながら恥ずかしいと思った。
肌を晒して踊っている品のない姫のことなど、本気で誘うはずがない。
「どなたかいらっしゃいました?」
「え?」
「いえ、香りが……」
「あぁ、生絹を出した時に香ったのね」
朱鳥はそう言うが、それにしては高貴な香りだと海未は首を傾げた。
どちらかといえば男性的な香りであるが、蒼絃が好んでいる香りとも少し違う。
――はて?
と、悩んだが、だからと言ってここに他の誰かがいたとは考えにくい。
気を取り直して「さあ、準備が整いましたから行きましょう」と朱鳥を促し、朱鳥の後を歩きながら、海未は振り返った。
だがやはり人影はなく、にわかに吹いた風がカタカタと御簾を揺らすだけであった。
今更ながら恥ずかしいと思った。
肌を晒して踊っている品のない姫のことなど、本気で誘うはずがない。
「どなたかいらっしゃいました?」
「え?」
「いえ、香りが……」
「あぁ、生絹を出した時に香ったのね」
朱鳥はそう言うが、それにしては高貴な香りだと海未は首を傾げた。
どちらかといえば男性的な香りであるが、蒼絃が好んでいる香りとも少し違う。
――はて?
と、悩んだが、だからと言ってここに他の誰かがいたとは考えにくい。
気を取り直して「さあ、準備が整いましたから行きましょう」と朱鳥を促し、朱鳥の後を歩きながら、海未は振り返った。
だがやはり人影はなく、にわかに吹いた風がカタカタと御簾を揺らすだけであった。