アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
中央には藤原碧斗(ふじわらあおと)。
彼は白い狩衣を着て現れた。

向かって左には十二単に身を包んだ女性と直衣姿の男性。彼らが奏でる繊細な琴と笛の音が響く中、碧斗は花を生ける。

手にした枝を見極める様子や挿すところまで、所作の全てが流れるように静かで美しい。

そしてその右。プロジェクションマッピングが映しだす美しい蝶と煌めく鱗粉の中、現れたひとりの舞姫が舞いはじめた。

その姿を見つめているうちに思い出した。

源のところで体験した平安時代のVRの中で舞っていたのはこの子ではないか?と。

真っ直ぐ伸びた漆黒の髪。穢れを知らないような澄んだ瞳、白い肌。血色のいい紅くて小さな唇。

日本人形のようなという表現があるが、彼女の場合は少し違う。
むしろその逆で、舞を終えた彼女がそのまま人形になってしまいそうな、もしくは消えてしまいそうな、そんな錯覚を覚える不思議な女性……。
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