アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
――やはり、西園寺がベストの選択か。


「お兄さま、これも覚えなくてはいけないの?」

タブレットの画面を覗き込んで、タッチパネルの動きと格闘していた碧斗の妹が、ふいに振り返った。

背中へ流れる艶やかな黒髪に、抜けるような白い肌。ほんの少し切れ長で黒目がちの瞳が印象的な彼女の名前は、飛香。
飛香は下唇を噛みながら、困ったように眉の端を下げた。

「どれのこと?」

飛香が指をさしたのは、窓際のテーブルの上にあるノートパソコン。

「パソコンがどういうものなのか、感じ取れれば十分だよ」
碧斗がゆったりと微笑んだ。

「今の時代でもコンピュータが苦手な人はいるからね。さあ、お茶にしよう」
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