アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
だから、安心できる。

生まれ変わりなのかどうなのかまでは、飛香にはわからない。

現代に住む碧斗のもとに、時々蒼絃が来ていたと朱鳥が知ったのは、朱鳥が現代に来ることになった時だった。

『時空を超える?』

『ああ、千年の時を飛び越えるんだ』

平安の都で蒼絃が部屋に籠もったり、行方も知らせず何日も外出したりしていた時、彼は現代に来ていたという。

でも現代の碧斗には、そこまでの力はないらしい。
彼にできるのは、自分の体を蒼絃に貸すだけだという。

それでも彼もまた特殊な能力があり、藤原家に代々伝わっている“鏡”を通し、蒼絃と話をすることができた。

現代の碧斗にも妹がいて、それが飛香だった。
飛香と朱鳥も呼び名“あすか”と同じである通り、生き生きとした瞳の輝きまでそっくりだ。でも、性格だけは少し違う。朱鳥は健康的で活発なのに対し、飛香は人見知りが強く本を読んでばかりいて引きこもりがちだった。

その現代の飛香は、今、平安の都にいる。
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