アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
『平安貴族のように、私も日記を書こう』

“飛香の日記”にそうある通り、貴族の姫である朱鳥も日記を書いた。

竜胆(りんどう)の花は美しいとか、女性に生まれたことへの不満など、他愛もない事を記したのだが、恐らくその日記を朱鳥となった“飛香”も同じように読んでいるだろう。

今こうして読んでいる日記ほど内容があるとは思えず気恥ずかしい気もするが、少しでもあの日記が彼女の役に立ちますようにと願った。

そんなことを考えながら読み進めるうち、ふと自分が最後に残した日記を思い出した。

『やっと私の前に現れた荘園の君。でも彼はもう北の方を娶っていた。長かった私の恋は、身分違いの叶わぬ恋でした』


――そういえば、荘園の君と頭中将に似ている男性がいた……。
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