アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「だろうな」と首をぐるりと回す洸を見ながら、ふと鈴木は首を傾げた。

今日邸にはその娘がいるとわかっているのに、文句を言いつつ彼は帰るという。

表向きは人当たりのいい一歳年下のこの上司は、面倒だとなれば上手にかわすことが得意のはずで、わざわざ進んで関わろうとはしないのが常だ。
相手が女性となれば特に。

「碧斗からも夕べ、妹をよろしく頼むと連絡があったんだ。
今日はとりあえず様子を見に行こうと思う」

まるで鈴木が心に抱いた疑問に答えるように、洸はそんなことを言った。

「本人も不安だろうし」

どんな持病であれ見守ってくれる家族と離れることは、さぞかし心細いに違いない。
心優しい家族に包まれていたなら尚のことだろう。

パーティ会場で、妹の後ろ姿を心配そうに見つめる兄の碧斗を思い出し、鈴木は納得したように頷いた。
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