きみと1番目の恋

翼「ううん。気にしないで。
夜景の見えるレストランよりも
おじさん達の笑い声が絶えない
居酒屋の方が私は好きだよ。」

私の言葉にホッとした表情を
浮かべた彼はさっき注文した
ビールを私の前に置く。

郁人「じゃあ飲みますか!
今日も精一杯、生きた俺たちに乾杯。」

翼「ふふ。乾杯。」

あの日、私が言った。
戯言のような言葉を覚えていてくれた
彼と交わすグラスの音は
いつも聞く音よりも穏やかだった。

ビールを一口飲むと
さっき、1人で飲んだ時よりも
格段に美味しい気がした。
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