きみと1番目の恋

翼「郁人くんがそう決めたなら
私が言う事は何もないよ。」

距離や時間を感じる事はない。
1年でさほど世界は変わらないけど
知らない郁人くんは沢山いる。

カフェのバイトを辞めた理由も
プロスケーターになる夢の話の続きも。
約1年間、このバーカウンターに
立っていた空白の郁人くんの姿も。
毎日、どんな生活を送っているのかも。
何にも知らない。

当たり前だ。
知っている方が気持ちが悪い。

だけど、溝のようなブランクのような
時間を...距離を...感じる度に強く思う。

あの時、逃げなければ良かったと。
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