きみと1番目の恋

翼「うん。...ありがとう。」

郁人「見られたくないものは
先に開けておいてね。」

テキパキと作業する郁人くんは
捨てないまま持ってきた
武彦との写真やら私物やらが
出てくるたびに
少し寂しそうな表情を浮かべた。

翼「ごめん、それ捨てようと
思ってたやつで‥本当ごめん。」

その表情を見る度に申し訳なくなって...
いちいち私は彼の事を
傷付けてしまうんだと改めて思った。

郁人「翼さんの捨てたいタイミングで
適当に捨ててくれればいいから。」

でも、やっぱり大人な彼は笑った。
ほんの少しぎこちない笑顔で。
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