きみと1番目の恋

うまく言葉に出来ない想いは
涙に変わる。だけど、伝えたい
想いは伝わらない。

その泣き顔さえも見せたくないと
頑なに心が拒んでいた。

郁人「いってきます。」

ーガチャ

返事なんて聞こえないのに
郁人くんは毎日、扉の向こう側にいる
私にいってきますと言ってくれる。

私だけじゃない。
悲しい想いをしてるのは。

もしかすると、郁人くんの方が
悲しいのかもしれない。
でも、彼はそんな事を微塵も感じさせず
毎日、仕事へと向かう。

静まり返った部屋が落ち着くと
思った事などなかったのに
今は、その空間が好きだった。
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