きみと1番目の恋
寝室の扉を開けリビングへ向かうと
机の上には1枚の紙が置いてあった。
ついに愛想を尽かされたのかもしれない。
部屋に閉じこもり
一言の言葉も交わさない私に
嫌気が差したのかもしれない。
仕方がない。悪いのは私だ。
そう覚悟を決め、机に近付くと
不育症検査の承諾書だった。
離婚届ではない事にホッとしながらも
複雑な気持ちになった。
この用紙に名前を書く時
郁人くんはどんな想いだっただろう。
ほんのり残る水滴の跡は
郁人くんの涙かもしれない。
その水滴の跡の理由も。
その時の郁人くんの気持ちも。
知らないけれど
その覚悟を受け取ろうと思った。
郁人くんも1人で決断したのだから
私も覚悟を決めなきゃならない。