きみと1番目の恋
だけど、震えるその手を
郁人くんが握ってくれたから
少しだけ平気になれた。
武彦と話す勇気を持てたんだ。
翼「私はもう会社を辞めた人間ですから。
今更、どうして私を?」
武彦「君の後輩の町田くん。
彼が今、商品開発部の部長なんだ。
何だか頼りなくてね、彼に
誰と一緒にやりたいか?と尋ねたら
真っ先に君の名前を挙げたよ。
役員会議でも賛成の声が
多くてね、後は君の返事次第だ。」
郁人くんは更に強く私の手を握る。
その力は痛いほどだった。
郁人「虫が良すぎませんか?
翼さんの事、切り捨てたくせに
社運がどうので、やっぱりなんて
都合が良すぎますよ!!
翼さんがどれだけ頑張ってたかも
知らないくせに、今更戻ってこいなんて
ちょっとは翼さんの
気持ち考えたらどうですか?」