きみと1番目の恋

郁人くんの声なんて
聞こえていないかのように
武彦は私の顔をじっと
見つめながら言った。

武彦「若宮がやりたがってた仕事だ。
ラフェスタ化粧品から世界に向けて
新しい商品を送り出す。
とても大切なプロジェクトだ。
俺も若宮には戻ってきて欲しいと思ってる。
ポストは前と同じチーフのままだけど
それでも構わないのなら戻ってきて欲しい。
返事は急がない。気持ちが決まり次第
連絡してくれればいい。」

確かにその時、私は感じた。
心が大きく揺れ動いたんだ。

翼「やります!やらせて下さい!」

武彦「若宮ならそう言ってくれると
思ってたよ。詳しくは追って連絡する。
弥生、行こうか。」

相変わらずな武彦は
話が終わるとお札を置き
今日も自分勝手に店を出て行った。
< 373 / 387 >

この作品をシェア

pagetop