きみと1番目の恋

武彦がいなくなると
郁人くんはふぅっと
ため息に似た息を吐いた。

翼「ごめん!郁人くん。
私、勝手に...」

郁人「いいんじゃない?
翼さんがやってみたいと
思ったなら俺は応援する。」

翼「怒ってないの?」

郁人「逆に何で怒るの?」

翼「今更だけど、相談してからちゃんと
返事した方が良かったかなって。」

郁人「翼さんは翼さんの
思うように生きればいい。
でも、無理はしないで。」

いつか、私が菜穂ちゃんに
向けた言葉を真似て
笑顔で郁人くんはそう言った。

さすがは優しさ選手権の王者だ。

この世の中にこれほどまでに私を
愛してくれる人は彼しか
いないんじゃないかと思うほど
優しさに満ち溢れていた。
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