きみと1番目の恋
私がもう一度、席に座ると
ジントニックを2つ頼んだ
郁人くんは片方を私の前に置いた。
翼「ありがとう。」
気を利かせてくれたのか
マスターが少し大きめの
ボリュームでクラシック音楽を
流してくれた。
その音がまた私の心を落ち着かせる。
郁人「あると思うけどな。
翼さんにも、大事なもの。」
そう言った郁人くんの横顔は
さっきよりも更に大人だった。
郁人「早く、気付けるといいね。」
その後に見せた笑顔は
屋台の射的で目当てのおもちゃを
手に入れた子供のようだった。